公開の美術と著作権・肖像権について超デジタル時代にどう考えるべきか

公開の美術と著作権・肖像権について超デジタル時代にどう考えるべきか

写真を発信するメディアを運営する以上、
特に調べておく必要があった
「公共の場での被写体の権利関係」についてまとめました。
写真素材を安全かつ正しい手段で
率先的に活用することが可能になるでしょう。

RailStockは写真作品を素材としてダウンロードして、各メディアで自由に使用していただく事を基本とするサービスです。

この写真素材で、例えば鉄道車両や看板、通行人が写り込んだ写真の使用について少々悩むことがあると思います。被写体の所有者に許諾を得ていない場合、権利関係などでトラブルになるかもしれないと思われるでしょう。

結論から言って、その写真を活用することに問題はありません。このような屋外に設置されている物は「公開の美術」という扱いになり、看板やそれに描かれたモデル、バスや電車に設置されたロゴマークも例外ではありません。

これは著作権法第46条に定められた「公開の美術の著作物等の利用」が適用されるものです。

ただ一方で、権利者や人物が写真の公開を取りやめてほしいと申告することも可能です。いくら「公開の美術」だと言っても、権利の所有者が拒否すれば発信者は応じる必要があるのです。

この記事では、安全な写真素材の活用方法と、メディアで発信する上で権利者を尊重する絶対的な姿勢についてまとめてみたいと思います。

公開の美術の範囲について

JR東日本255系電車
[特急列車]エル特急は地方と都市間を結ぶ身近な列車:写真素材

ビルや家屋などの建物、街の中にある看板や公園のオブジェ、バスや電車の壁に描かれたロゴやイラストは公開の美術になります。

例えば、アイドルグループを起用とした広告看板を写真に撮ってメディアで発信した場合も、原則認められる必要があります。屋外に掲示されたもの、設置されているものは公開の美術として扱われ、それを写真に撮って使用することに問題がないからです。

看板の所有者やスポンサーのアイドルグループに許諾を得ずともメディアへ掲載できます。法の解釈上では、公共の屋外に設置されている時点で、人目に触れることや写真に撮られることが十分に考えられる状況下だと判断されるからです。

最近よく電車の壁がアニメのキャラクターで埋め尽くされたランピング電車なども運行されています。そもそも権利元がPR目的で作ったイラストや看板であり、多くの人目に触れるために制作したものと考えれば、それらを写真に撮ってメディアへ掲載することに問題がないのはむしろ自然でしょう。

公共の屋外で多くの人目に触れることが前提のものが公開の美術として扱われます。

通行人の写り込みは原則問題なし

JR山手線 五反田駅前
ラッシュアワーに集結する駅前の通勤風景:写真素材

看板などが著作権なら、通行人は肖像権が問題になってきます。先ほどの公開の美術の解釈と似ているのでついでに触れておきます。

結論、通行人の写り込みについて基本的に肖像権は問われません。例を出すと、新宿の交差点の様子を撮った写真に通行人が100人写り込んだとして、その写真を公開することに原則問題ありません。

雑踏を歩く人々の写り込みに問題がない理由は、先ほどの公開の美術とほぼ同様の解釈になります。公の屋外でただ道を通行している人物が写真や動画に写り込むのは当然考えられることです。また、行き交う人々に一人一人撮影許可を得るなど現実的ではありません。

テレビのお天気カメラが交差点を写すのがOKなのと同様、公共スペースで写真を撮る行為やその映像を一般公開する事自体に何ら罰則はありません。公道も文字通り公の状況下なので、基本的にはただの写り込みには肖像権を問われません。

権利者はいつでも公開の取りやめを申請できる

JR東日本 TRAIN SUITE 四季島
富士山そびえる冬の青空とTRAIN SUITE 四季島:写真素材

著作権は公開の美術と扱われ、通行人は肖像権が問われなくても、権利者や被写体は公開の取りやめを申請することができます。これは公開することによって権利者が何らかの損害を被る場合、また損害を被る可能性があれば公開停止を要請できるものです。

最初に例としてアイドルグループが写る看板を挙げました。この看板の権利者やアイドル自身が、撮られた写真が公開されたことにより何らかの損害が発生する場合は公開の取りやめを申請できます。

写真がネット上に公開されることによって損害の発生が考えられるのは、主に以下のような目的で使用された場合でしょう。

・商品やサービスの評価を落とす目的。
・個人やグループに対してマイナスイメージを発信する目的。
・悪意のある切り抜き。

被写体の評価を落とすネガティブな発信をするために、特定の個人や団体が権利を所有するものを使用するのは許されません。法律がどうの以前に、道徳観や常識的な話ですが、そのコンテンツを公開したことで権利者の評価や売上に損害が発生した場合は罰則があります。

肖像権も同様の考え方で、具体例を出すと「駅のホームで駅員と揉めているキモいおっさんがいた」と勝手に写してTikTokで公開したとして、その被写体が権利侵害を訴えれば削除、罰則の対象になります。

1人をクローズアップして撮った写真や、本人が公にされたくないような場面であれば、公共の雑踏の中だったとしても公開の取りやめがいつでも申請できるのです。

RailStockの写真素材でも「悪意のある切り抜き」や「被写体の権利を著しく落とす目的」での写真の二次利用をお断りしています。

超デジタル時代における発信者の責任

インターネットは高い情報の拡散力がメリットにもデメリットにも働きますよね。一度ネット上に公開した情報やメディアは、後になって削除したいと思っても、無限に複製されてしまえば全て消し去ることはほぼ困難でしょう。

ただ、ポジティブな発信も同様に、ネット上は高い拡散力を誇ります。

例えば「この街は美味しいラーメン屋さんが多い」という発信が拡散された中で、そこに自ら運営する店舗の看板が写り込んでいたら高いPR効果が見込めますよね。

反対に、ネット上で「ここのラーメンはまずい」と書くことは、ラーメン屋の前で「この店はまずい」と大声で叫んで拡散しているのと同義であることは、ネット上に情報発信をする上で考慮すべき責任です。

心の中で思うのは勝手ですが、それを不特定多数に発信した先にどんな影響が待ち受けているのか。実社会もネット上も同様に公の場です。発信者側はこの情報をネット上に公開することでどんな影響が及ぶかを、送信ボタンを押す前によく考える必要があるのです。

削除を依頼されたら考えること

JR東日本E235系電車
山手線が今日も東京をぐるぐる周回:写真素材

公開に問題がない写真でも、それを削除してほしいと依頼されることは考えられます。写真に写り込んだ企業や団体が削除してほしいと思うような状況は、多くの場合で公開されたことによって何らかの不利益があるからだと思われます。

公開の取りやめを依頼されたら基本的には応じるスタンスが必要です。しかし、その理由は明確にしてもらう必要があります。

例えば、発信内容で見直すべき部分があるかや、継続して写真を掲載する方法があるかを、権利者と直接相談できます。

どんなことも人間同士のコミニュケーションで成り立つ世の中です。両者で落としどころを模索するには、しっかり意見を交換して話し合うことが大切でしょう。ただ個人だと発信側から権利者側へアプローチしたくても、なかなかそのようなツテが無い方が多いですよね。

削除依頼がされたら、基本は応じる姿勢で誠実に対応しつつ、権利者と直接やり取りができる貴重な機会に意見を交換するのがするべき事になります。

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